2025.05.14
豆知識夏場の工場の暑さ対策 -工場で「暑さ対策」が必要な訳とは?-
今年もまた暑い夏が間もなくやってきます。
炎天下の中、建築現場など屋外で働く方々を見て、大変だなと感じる方は多いと思います。
しかし、弊社のようなダンボールなどの製造工場は屋内ではあるものの「夏場の工場の暑さ対策」をしなければかなり過酷な労働環境と言えます。
また、「夏場の工場の暑さ対策」について厚生労働省でも事業者に対して対策を義務化する動きもあるようです。
2024年の夏は平均気温が統計を取り始めた1898年以降最も暑い夏でした。
そして2025年、ラニーニャ現象の影響で昨年並みかそれ以上の厳しい暑さが予想されています。
今回このブログでは「夏場の工場の暑さ対策」について、そのポイントをまとめてみました。
もくじ
夏場の工場はなぜ暑いのか?
夏場の工場が暑い主な理由は以下の2点が考えられています。
・建物の屋根や外壁からくる熱
・工場内で稼働している機械からくる熱
建物の構造にもよりますが、屋根や外壁といったところは直射日光の影響が受けやすい場所になります。
そこでたまった熱が建物内部に伝わり工場全体が暑くなります。
また、装置やフォークリフトなど稼働しているあらゆる機械からも熱を発しているため、工場内の温度上昇の原因となっています。
上記2点の熱は輻射熱となり、「高い方から低い方へ移動」します。
それにより体感的にも夏場の工場は暑いと言われています。
※上記2点以外の要因
食品や医薬品の製造工場。また、それら商品を梱包するためのダンボール箱を作る工場などでは、ほこりや虫などの「異物混入」を防ぐため製造エリアに窓がなかったり、窓があっても開放できなかったりします。
通気性の悪さからこもった熱を放出できないことも夏場の工場の暑さにつながっています。
工場の暑さによる影響と重要性
作業者の安全面
夏場の工場の暑さは対策しなければ、熱中症や熱疲労などで作業者の健康リスクが生じる恐れがあります。
それによる転倒で起こる二次的なリスクも考えねばなりません。
特に熱中症は最悪の場合、死に至る可能性もあるだけに見過ごすことのできないリスクであると言えます。
生産性の低下
夏場の工場の暑い中で作業をしていると、どうしても集中力が切れてしまいます。
また、気持ち(モチベーション)も下がってしまいがちで作業スピードがなかなか上がらないというのは良く聞かれます。
単純ミスも多くなる傾向から生産性の低下につながると言われています。
機械の故障
想定外の高温にさらされると電子機器類は正常に稼働しなくなったり、故障したりするリスクが高くなります。
気を付けなければならないのは、暑さによる機械の故障は内部で起こるため、その兆候に気付くのか遅くなりがちです。
それによって生じた計器の狂いのため発生する不良品や再検品にかかる時間など生産性低下に大きく影響が出てしまう恐れがあります。
生産性の安定稼働のためにも、夏場の工場の暑さ対策は事前に行っておきたいものです。
工場の暑さ対策で出来ること
遮熱塗装や遮熱シート
暑さの根本原因のひとつである建屋の屋根・外壁に遮熱塗装を施すことで建物内部への熱伝導を抑制する効果が期待できます。
また、窓ガラスや出入口のガラス扉などに遮熱シートを貼り付けるのも効果的です。
昨今、家庭でのDIYブームによりプラダンシート(プラスチックダンボールシート)を遮熱シートとして活用される事例が見られます。
プラダンの原材料であるポリプロピレンの熱伝導率は窓ガラスと比較すると、なんと約3~4倍の断熱性があると言われています。
汎用性プラスチックの中で最も軽く、加工のしやすさから非常に安価で効果的な対策のひとつと言えそうです。
また、これら遮熱対策により建物の室内温度を下げることは、後に紹介する冷房・空調設備の負荷とエネルギー消費を抑制するといった効果もあることから、もっとも優先的に実施して欲しい対策と言えます。
スポットクーラー
建屋全体に空調やエアコンを設置できない工場におすすめな冷却設備と言えば、なんといってもスポットクーラーではないでしょうか?
吸い込んだ外気を内部で冷却して送風してくれるアイテムです。
冷却したい場所へ簡単に移動できるのが特徴で、高温になりやすい場所での作業や、長時間滞在する場所での作業時に非常に効果的です。
大型のものから小型のものまで、さまざまな機種がありますので場所や用途に応じて対策することが可能だと言えます。
空調服
現場作業アイテム専門店やホームセンターなどの店舗でも多く販売されている影響で、かなり認知度が高い空調服。
こちらも夏場の工場の暑さ対策に重宝されるアイテムではないでしょうか。
従来より、工場の作業員が着用する作業着は、安全衛生上の理由で厚めの生地で長袖のものが殆どになっております。
そのため通気性が悪く、暑さによるストレスもかなりのものであると想像されます。
そこで、冷却機能のある空調服を着用する事で、体を冷やし、暑さによるストレスの軽減になり作業効率の向上にもつながりることが期待されます。
ビニールカーテン(シートシャッター)
工場内では日々、作業エリア間をフォークリフトや台車が行き来します。
そのたびにシャッターの開閉が頻繁におこったり、場所によっては長時間シャッターが開きっぱなしになる事もしばしば発生します。
そうなってしまっては、せっかく冷やした室内温度を維持できなくなります。
そのような場所の出入り口に「のれん」のようなビニールカーテン(あるいはシートシャッター)で仕切り涼しい空間を維持させるのも夏場の工場の暑さ対策には効果的です。
LED照明
工場内の熱発生を抑える意味で、白熱灯よりも温度の低いLED照明の設置は建屋全体の室内温度上昇を抑えることになるので非常に効果的です。
ただし、建屋全体となるとその他の対策に比べて設備費がかなり高額になるので、実施する場合はかかる予算とその効果、あるいは実施時期も含め検討が必要な対策となります。
暑さ対策における注意点
水分補給
夏場の暑さ対策の基本は、こまめな水分補給です。
暑い場所で作業をしていると、涼しい場所に比べてはるかに早く体の水分が奪われ、脱水状態になります。のどが渇いてからでは遅いとよく言われますが、こまめな水分補給はとにかく重要な対策になります。
また、水分だけでは体内の塩分濃度が薄まり、これもまた熱中症に陥る危険な状態になってしまいます。
水分補給同様、適度な塩分の摂取にも注意しましょう。
休憩スペースの確保
作業現場にもよりますが、可能であれば作業員のためにエアコンが完備された休憩スペースを確保することも大切です。
体を休め、冷やし、回復することもそうですが、暑さのストレスから解放される事でメンタルの回復も大きく期待されます。
それにより作業員の熱中症リスク低減だけではなく、作業効率の向上も見込めるのではないでしょうか。
作業員の体調・環境管理
夏場の工場の暑さ対策でもっとも重要なのは作業員の体調や、作業内容も含めた環境などをしっかりと事業者が管理してあげる事ではないでしょうか。
人により体力や体の丈夫さは違います。
また、仕事においては経験や熟練度により同じ作業でも人により進捗具合も違うと思います。つまり、画一的なルールで管理するのではなく、夏場の工場の暑さ対策に関しては、「体調不良者の早期発見」ができる仕組み作りが必要なのだと思います。
具体的には、熱中症などの初期症状を周知・共有し、その症状が現れたら速やかに上長へ報告するように指導することなどが効果的であると言われています。
緊急時の備え
緊急の事態が発生した場合の備えにも注意が必要です。
まず第一に、緊急連絡先リスト(救急車、病院など)を設置しておくと良いでしょう。また、応急処置の手順などをマニュアル化し、従業員全体で共有、訓練などして準備しておくことも良いと言われています。
まとめ
夏場の工場の暑さ対策を記載してきました。
その目的は、第一には作業員の健康と安全のためである事は明らかですが、それと同時に安定した事業活動と生産性の向上を目指す事でもあります。
会社が継続した事業活動と、社会貢献を果たしていくうえで、事業者にとって作業員は大切な人材です。
その大切な人材が社員として定着し、生産性を上げていくうえでも働く場所の環境改善はものすごく重要だと思います。
この程、厚生労働省の方でも「職場における熱中症対策の強化」を進めていく方針と発表されています。 年々厳しさを増す「夏場の工場の暑さ」、できることから対策をしていくことが重要です。
イクソブ株式会社ではこうした暑さ対策も含め工場全体の機能改善もお手伝いさせていただいております。
少しでも気になられた方はお気軽に担当営業、お問い合わせ窓口までご相談ください。