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通い箱とは ―そのコスト削減効果と運用の課題について―

2025.09.17

豆知識

通い箱とは ―そのコスト削減効果と運用の課題について―

通い箱とは製品や材料などを拠点間で輸送し、繰り返し使用される箱などの容器です。

通函とも呼ばれます。出荷後に店舗や消費先で廃棄される容器はワンウェイ(ワンウェイ箱)と言います。

 

通い箱の運用は昔からよく行われています。

容器を繰り返し使用することでコストの削減効果が期待できます。

ただし、条件によっては逆効果となり導入するには検討が必要です。

通い箱がどういう場合に適しているか詳しくみていきます。

通い箱の前提条件

通い箱は単に箱を再使用(リユース)するだけでなく繰り返し使います。(リターナブル)

そのため容器の回収が前提です。ビールの瓶もリターナブル容器です。

それを輸送するプラスチックケースも通い箱として運用をされます。

具体的には工場から小売店への輸送に使用され、小売店で回収された空き瓶と一緒に回収され再利用されます。

 

これは瓶のデポジット制や特別な回収ルールがあるため可能となっています。

一般的に家庭用商品は種類や規格が膨大にあり回収のコストや手間がかかるため通い箱の運用には不向きです。

通い箱の多くのは特定の商品や部品を拠点間で移動するケースで使われます。具体的には次のような運用です

 

例1)

・A社のB工場より部品を通い箱に詰めA社のC工場に納品、C工場で組み立てた製品を通い箱に入れてB工場に返送する。

 

例2)

・A社より商品を通い箱に詰めD社に納品。使用後D社が保管している通い箱を A社が納品時に回収する。

 

通い箱のコスト計算

通い箱はワンウェイで使用する箱よりもコストがかかります。通い箱は長期間繰り返し使用することでメリットを出すものです。導入の際下記に留意ください。

 

容器のコスト

 

通常の単なる再利用と違い、通い箱は複数回の使用が前提です。

そのためワンウェイ箱よりも耐久性のある丈夫な容器が求められ、多くの場合は専用の箱を調達します。

ありあわせの箱を使用するより規格が統一され管理がしやすい利点があります。

そのため最初にまとまった数を調達する費用が発生します。

ワンウェイ箱よりも素材など頑丈なものにすると容積当りの費用はアップします。

内容品によっては輸送時のガタつきを押さえるために仕切り板緩衝材が必要になる場合もありますのでそれらを含めたコストを考える必要があります。

 

必要枚数

 

通い箱として運用するための総数量を決めます。

ワンウェイであればその都度必要な枚数を発注すれば良いですが、1回の出荷量、出荷頻度、輸送日数、拠点に滞留する日数、回収に必要な日数を考慮して通い箱が回転できる数量を設定します。

 

単純にA拠点からB拠点に週1回1000ケース納品する場合、B拠点前週に入った1000枚全数引き取れるのであれば計2000枚で回ることになります。

ただ出荷、引取の日数が2日かかり、その際A拠点で継続生産をしている場合は2日分の使用量を足さないと回りません。

B拠点での滞留があれば同様に計算します。

生産や出荷が平準的であれば良いのですが季節的に変動するのであれば多い時期に合わせる、また多少の余裕を見て必要枚数を計算するとよいでしょう。

①×②が初期投資金額となります。

 

コスト比較

 

前の例で通い箱が40回使用できるとして、初期投資金額を40で割った金額とワンウェイ1000枚の調達コストを比較することになります。

但し、資材コスト以外にもランニングコストを考慮する必要があります。

 

ランニングコストとは運用していく際に定期的に発生するコストです。

・製品をいれて戻さない場合など回収運賃

・通い箱の保管コスト

・定期的な洗浄や修理、交換などが必要な場合はそのコスト

・ワンウェイ箱に比べて梱包作業性や廃棄に関わる負担など

コスト比較をするときはある期間にかかる調達コスト・ランニングコストを総合的に判断すると良いでしょう。

 

 

通い箱の種類

通い箱は使用方法による呼称で、箱の素材や形状を指すものではありません。そのため通い箱には様々な種類が存在します。

通い箱は繰り返し使用されることが前提です。そのため素材は丈夫で汚れにくいものが適しています。

 

段ボール箱

 

通い箱 段ボール

 

段ボール箱など紙の素材を通い箱として使用している会社も多くあります。

繰り返しの使用に耐えられるよう段ボールの材質を強いものにすることも出来ます。

段ボール箱は初期導入コストが安い、廃棄の手間がかからない、たためるため保管スペースをとらないというメリットがありますが、繰り返し使用できる回数は少ない、汚れやすい、水分には弱いというデメリットもあります。

 

プラスチック素材

 

通い箱 プラスチック1通い箱 プラスチック2

 

 プラスチック素材の通い箱ではプラスチックコンテナ(プラコン)折りたたみコンテナ(オリコン)があります。

紙と違い汚れても洗浄できる、素材が丈夫なので繰り返し使用できる、というメリットがあります。

プラコン・オリコンは金型が高価なためオーダーメイドは現実的に難しく、既製の製品を使用するようになります。

プラコン・オリコンの価格は段ボールより高いため初期費用がかかる、廃棄する際は産廃となるなどのデメリットがあります。

 

またプラコンは丈夫ですが畳めないため保管時にスペースをとります。

オリコンは畳むことができますが、パーツ自体は薄くなり破損しやすいなど、それぞれメリット・デメリットがあります。

 

プラダン箱

 

プラダン(段ボール状のプラスチック素材)は軽く、丈夫です。

段ボールのように加工もできるため比較的安価にオーダーサイズが制作できます。

形状によっては段ボールのように畳めるため省スペースで通い箱の主流になりつつあります。

 

価格 廃棄頻度 廃棄しやすさ 保管スペース 耐水性
段ボール ×
プラダン
プラスチックコンテナ × ×
折り畳みコンテナ ×

通い箱のメリット・デメリット

メリット

 

・コスト削減

繰り返し使用することによりコストの削減が見込めます。但し条件によっては

ワンウェイのほうが低コストになります。(通い箱のコスト計算の項目を参照)

 

繰り返し使用するためワンウェイ箱より廃棄の頻度が減り、廃棄の手間、環境問題の

改善に繋がります。

但し通い箱の素材によっては段ボール箱などのリサイクル製品より廃棄時の費用や手間がかかる場合があります。

 

 

デメリット

 

・コストアップ

初期投資をしますのである時期まで資金の持ち出しが発生します。

汚れや破損で当初の目論見通りの回数を使用できない場合はコストUP要因となります。

 

・在庫スペース

納期に合わせて調達できないため製品の出荷前や回収前に保管スペースが必要と

なります。また拠点間で分散するため在庫管理も煩雑になり、どちらかに偏った場合の

移動なども手間になります。

 

・出荷量の増減に対応できない

通年一定ペースで流れる商品であれば良いですが、急な出荷増などがあった場合通い箱の調達が間に合わずワンウェイ等で対応する場合がある。

最初から多めに調達すると使用回数を増やさねば採算が取れず、通常時の保管スペースも多く必要となります。

まとめ

回収の手間や費用、置き場の問題で通い箱を導入したがワンウェイ箱に戻した会社もあります。

プラスチック部品などの軽い製品などは、あえて高価な通い箱でなく段ボール箱で運用を行っている会社もあります。

回数が減っても繰り返し使用できる分コスト削減効果もあり、補充も手軽にできます。

 

通い箱はコスト削減効果が期待できますが、運用面の課題を含めて検討することが必要になります。

扱う商品や運用によってどのような通い箱を購入するか検討すると良いでしょう。

イクソブ株式会社は通い箱の運用の他にも様々な物流コスト削減のご提案が可能です。是非お問い合せください。

 

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