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段ボール箱のコストダウンをする方法  -「機能性」や「使い勝手」を損なわないために知っておくべき事とは?-

2025.11.01

基礎知識

段ボール箱のコストダウンをする方法 -「機能性」や「使い勝手」を損なわないために知っておくべき事とは?-

段ボール箱のコストダウンとは、段ボール箱の仕様や購入方法を見直すことによってコスト低減を図る方策全般を指します。

段ボール箱のコストダウンにはいくつかの方法があります。

1ケースあたりのコスト低減は小さくても大量の購入される企業様にとっては大きな効果を生みます。

 

近年、労働力不足や物流費高騰を受け、素材や商品の値上げが相次いでいます。

段ボール箱も、段ボール箱の素材となる板紙も例外ではありません。

段ボール箱の価格が上がったとしても、箱が無ければ商品の出荷もできません。

購入量を減らす訳にいかず商品価格への転嫁も厳しい状態でお困りの企業様も多いと思いますが、そのような場合、段ボールのコストダウンは有効です。

 

この章では、ダンボール箱に求められる「機能性」「使い勝手」を損なわずコストダウンする方法について述べていきます。

段ボール箱の価格算出方法

段ボール箱の価格はどのような方法で算出されるのでしょうか?

販売する段ボール会社によって段ボール箱の価格設定は異なります。

だだ、どの販売会社も材料価格製造コスト配送コストが段ボールの原価の大きな部分を占めるため、これらの要素を検討することで段ボール箱のコストダウンにつながります。

それぞれの要素につい、どうすればコストダウンにつながるのか具体的に見ていきます。

 

【材料価格】について

段ボール箱の材料は段ボール原紙(板紙)です。

段ボールは表・裏の紙(ライナー)波状の紙(中心)段の高さ(フルート)の組み合わせにより様々なグレードがあり、強度が変わってきます。

詳しく知りたい方はこちらのブログをご覧ください

▶段ボールの材質とは


材料価格は材質のグレードとその箱の大きさによって決まります。まず材料のグレード変更によるコストダウンについて見ていきます。

材質のグレード

材質について

 

段ボール箱の主材料である段ボールに使用されている紙の素材(材質)にはいくつものグレードがあります。

表面の表・裏の紙をライナー、波状の紙を「中芯」、段(高さ)を「フルート」と呼びます。

そのそれぞれにグレードがあり、組み合わせによって段ボールそのものの強度が変化し、それに応じて価格が変動します。

 

紙は顕微鏡で見てみると、パルプの繊維の集合体である事が分かります。

グレードが高い(強度が高い)紙というのはその繊維がより多く集まっているという事を意味します。つまり重いし厚いのです。

当然、価格も高いという事になります。

では、どうすればコストダウンができるのでしょうか?それぞれ見ていきます。

 

 

ライナーの見直し

 

段ボール表面の紙であるライナーは手で触れる紙になるので、一番馴染みのある素材だと思います。 

コストダウンの一番よくある方法は、ライナーのグレードを一段階下げる事です。

ライナーは段ボールの構成要素の大きな部分を占めていて価格にも大きく影響します。

ライナーの変更は強度も大きく落ちるというリスクがあります。

ここで提案したいことは裏のライナーだけ変更といった方法です。


段ボール箱は表・裏に同じライナー使用している場合が多く、両面のグレードを下げるより強度不足を抑えることができます。

後に述べる中芯の変更も含めて、材質変更の場合は内容品の重量に対しての強度計算ができますので、販売会社にご確認いただき、ご採用前には必ずサンプル品で確認していただくことをお勧めいたします。

 

 

中芯の見直し

 

波状の紙である中芯についてもライナー同様にグレードがあります。
中芯は波状に機械で成形するためライナーより薄い紙を使いますので、中芯のグレードを落としてもライナーほどコストダウン効果は少ないです。
逆にライナーの材質を落とした場合、中芯をUPすることで強度を補完するには有効であるとも言えます。


中芯を普通芯から厚物に変えただけでも段の硬さは実感できます。
近年は薄物の中芯で強度がある強化中芯も材料メーカー商品化されていますので販売会社に問い合わせでみても良いでしょう。

採用できるかは扱っているか、ロット数など条件があります。


うまく採用できれば「機能性」「使い勝手」を損なわずコストダウンが実現できると思います。

 

 

段(フルート)の見直し

 

段(フルート)にはグレードという概念ではなく用途によって使い分けられます。
外装箱にはAフルート(5ミリ段)内装箱にはBフルート(3ミリ段)Eフルート(1.5ミリ段)が使われることが多いです。

紙器では1ミリ以下のマイクロフルートが使用される場合もあります。
外装箱には強度が求められ厚い素材が、内装箱には精度や印刷の美しさが求められるため薄い素材が使用されるということです。
同じ内寸法でも段(厚み)により設計寸法が変わってきますので材料面積は変わってきますが、そこまで大きくは変わりません。

使い勝手の面からはコストダウンのために薄い段にすることはおすすめしません。

 

ダブルフルートは2層(8ミリ)の段ボールです。

採用している会社も少なくなりましたが、これに関してはシングルフルートに変更するコスト効果は大きいため用途によっては検討すべきでしょう。
また、近年AフルートとBフルートの中間のCフルート(4ミリ段)を採用する会社が増えています。

材料面積の問題より段ボール自体の容積を削減できるため輸送コストや保管スペース削減の効果が見込まれ、使い勝手・機能性の面からも有効です。

 

購入するダンボールメーカーの製造コストの面であったり、主には配送面でのコストが影響して、コストダウンにつながる場合があります。

メーカー各社の都合にもよりますので一概には言い切れませんが、相談されるのも良いかと思います。

 

サイズ・箱形状の最適化

段ボールの形状

 

2項で述べた材質のグレード変更によるコストダウンは、購入されるお客様にも割と分かりやすい内容だったと思います。 
3項では段ボール箱のサイズや形状の最適化によるコストダウンについて見ていきたいと思います。

 

段ボールの価格は材料価格(材料のグレード×大きさ)が大きな構成要素であることは先に述べました。

大きなサイズの段ボールは小さい段ボールより単純に材料代が高くつきます。

しかし、段ボール箱の役割は内容物を梱包することにある事からすると、必要となる箱サイズは自ずと決まってしまいます。
ここで、ご提案する「サイズ変更」とは、箱そのもののサイズではなく、「箱の入り口を変える」事です。 

つまり、箱のタテ・ヨコ・高さの向きを入れ替えることで箱の材料面積を抑えることができます。

梱包する内容物により不可能な場合もありますが、機能性や使い勝手を損なわずコストダウンにつながります。

また、タテ・ヨコ・高さの向きを変えることなく、ほんの数ミリの微調整でコストダウンができる場合もあります。箱の形状の変更も有効な方法です。 

 

 

リサイズ

 

段ボール箱には、タテ・ヨコ・高さの三辺のサイズがあります。
商品の一番長い部分を箱の高さ部分に持ってこれれば材料寸法は小さくなります。

A式箱の設計上、タテ×ヨコの部分が開口部になり、開口部が小さいほど箱のフタ(フラップ)の面積が小さくなるからです。

ただし、箱の三辺サイズは商品の入れ方によって決まってしまう場合が多く、作業性にも関わりますので機能性や使い勝手を検討することも必要です。

 

 

箱形状の見直し

 

A式以外の段ボール、例えば底ワンタッチ差し込み式などを採用されている場合、それぞれに理由はあると思います。
単純に、底止め部分や差し込む部分など、A式段ボールに比べて材料を余計に使いますので価格は高くなっています。


また、製造コスト面でもA式段ボールは他の形状に比べて優位です。
A式段ボール箱は高速マシンでの一貫生産ができますが、他の形状は印刷、抜き、貼りという工程が必要な場合もあり機械を通すスピードも劣ります。
底ワンタッチなどは、箱を組み立てる作業性効率で採用されていると思います。

大量にA式段ボールを使用するのであれば高速に箱を組みたてテープ貼りする製函機を採用することで、作業効率改善が図れます。(初期投資は必要です。)
現在A式以外を採用している場合、可能であれば「A式」段ボールに切り替えることでコストダウンにつながります。

 

 

サイズの集約

 

モノの価格を抑えるときの重要なポイントとして、生産数(ロット)があります。
都度作る(買う)よりもまとめて作る(買う)方が安くなります。
たくさんの種類があるよりも種類が集約されている方が、ロットが大きくなるため、材料調達、製造や配送の面でもスケールメリットが生じ、価格を抑えることができます。

 

しかし、段ボール箱の場合内容品によってサイズが決まってくる以上集約することは簡単ではありません。

緩衝材などを用いて近い寸法を共用化したり、多罫線段ボール箱を採用するなど工夫が必要となります。

段ボール箱を集約することで在庫スペース削減などの効果も期待できます。

集約化に当たっては販売業者の知識や経験が必要な場合があります。ご検討の際はご相談されることをおすすめいたします。 

▶多罫線段ボール箱とは?―意外と知らないA式段ボールの裏技―

印刷・加工の簡素化

印刷機写真

 

段ボール箱の加工方法によっても製造コストが変わります。 

先に述べたようにA式以外の形状からA式への変更が最も効果的ですが、A式でも印刷の有無や、刃物交換、特殊な加工が必要な場合製造コストは上がります。

できる限り加工を簡素化する事がコストダウンにつながります。

 

 

印刷内容

 

段ボール箱に印刷をする場合、多くの場合は「印版」と呼ばれる樹脂製の凸版を使用します。
印版は印刷内容ごとに作成されるので、ほぼ全てがお客様の「専用版」になります。

印版は印刷色ごとに専用のフィルムに貼り付けられ、段ボールを製造する場合機械にセットされます。

1色印刷であれば、印版のセットは1箇所ですが2色印刷以上はその色数の印刷ユニットにセットされます。

印版枚数が多いほど、セット・取り外しに時間がかかります。

理屈上は印刷色を減らすことで時間が削減されコストダウンにつながります。(販売業者によって考え方は若干違います。)


印刷色に特殊な色を指定する場合も機械でのインキ替え時間も発生し、製造会社としても余分な在庫を持たねばならないため、できるだけ標準色を採用することが望まれます。
印刷に関わるコストは箱1枚に対して微々たるもので、目に見えてコスト削減効果があるわけではないですが知識としては有効です。

 

 

加工内容

 

底面や四つ角が糊貼り加工された箱やA式でも手掛穴空気穴などの加工がある場合、加工がない箱に比べて手間暇がかかる分、割り高になります。
もちろん内容物や、取引先との約束ごとで変更できないことが多いとは思いますが、見直すことができればコストダウンにつながります。
機能性や使い勝手、取引先との条件などに問題がなければ検討されても良いのではないでしょうか?

配送・保管の効率化

トラック

 

昨今、「運送会社」を取り巻く環境が非常に厳しくなっております。

ドライバーの高齢化・人件費やガソリン代、維持費の高騰などが経営を圧迫し、価格転嫁が余儀なくされています。

特に段ボールの配送に関わる部分では付帯作業等でドライバーのなり手も少なく、運賃改定を受け入れざる得ない状況です。
従来から、段ボール自体が重量に対して容積が大きいため、原価に占める運賃比率が高い商品です。
そのため、配送条件等を見直す事でコストダウンを図ることが考えられます。

 

積載効率の見直し

 

段ボール箱は非常に嵩張り、運賃比率が高い商品です。メーカー側の配送コストを下げることでコストダウンにつながる可能性あります。

 

具体的には納品数量を増やすことです。

例えば1000枚の段ボール箱が必要だったとして、1回でお届けするのと、100枚ずつ10回に分けるのとでは使用するトラックの台数(回数)が変わってきます。

トラック1台満車での注文が、段ボール販売業者、運送会社ともに一番効率が良く、購入者のコストダウンにつながるため「三方良し」ですが、そこまでできる会社も限られると思います。

 

段ボール1商品のロットを増やすことは製造コスト配送コストに効果がありますが、余裕を持った注文で複数商品の配送回数をまとめることも配送コスト削減を図ることが出来ます。

ご検討ください。

 

 

保管スペースの削減

 

倉庫

 

前項で発注・配送ロットをまとめるという話と裏腹になりますが、それによって購入者側からすると保管スペースが増えることはコストアップ要因となります。

保管スペースについては、必要最小限の量を必要なときに注文するのが一番良いのは当然です。

前項までに述べてきた通り、段ボール箱の購入コストは様々な要因に起因します。

 

これらの条件を踏まえたうえで、トータルのコストで判断して購入量と保管スペースを検討されることをお勧めいたします。

スペースに関しては特に、2項で述べた段(フルート)の見直しや、3項で述べたサイズの集約の考え方がお役に立つかも知れません。

まとめ

今回、様々な角度から段ボール箱のコストダウンをする方法を見てきました。
一般的な段ボールのコスト発生要因をもとにした内容であり、すべての販売業者に当てはまるものではありません。

また、現在購入されている方によっては条件が当てはまらない事例も多く記載させていただきました。


段ボール箱を販売する立場から、出来る限り「機能性」や「使い勝手」を損なわないでコストダウンを図るご提案をさせていただきました。
これ以外にもお客様にご提案できる事例は多数ございます。私たちイクソブ株式会社はお客様に寄り添い考えて参ります。

繰り返しますが、実際にご採用される場合は販売業者にご相談の上、サンプル品にて確認されることをおすすめいたします。 

 

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